ご挨拶

更新日 2014年3月20日

吉野 公一郎
独創的な創薬技術の提供をめざして
吉野 公一郎
株式会社ProbeX 代表取締役社長

3月は卒業式のシーズンで、「仰げば尊し」とともに「蛍の光」が歌われたことと思います。「蛍の光」の冒頭の歌詞は、中国の東晋王朝時代の車胤が、家が貧乏で灯す油が買えなかったために蛍の光で勉強し、その重ねた学問により長じて朝廷の高官に出世した、という故事にちなんでいるそうで、一途に学問に励む事を褒め称えています。

この蛍の光が現代では、細胞や動物の機能解析に応用されるようになりました。このような機能解析は分子イメージングと呼ばれ、今後の大きな発展が期待されています。しかしながら、蛍の光は弱く、また、細胞の中での発光も不安定であるため、実用化への道のりは平坦ではありませんでした。蛍の光は、ホタルルシフェラーゼという酵素がルシフェリンという基質を酸化することにより生ずることが明らかにされています。蛍の光を細胞や動物の精密な機能解析に用いるには、より強力なルシフェラーゼが必要でした。産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門長の近江谷克裕先生等は、蛍よりも強く光るブラジル産ヒカリコメツキムシから新たなルシフェラーゼを見出し、さらにこれを遺伝子工学的に改変し、従来のホタルルシフェラーゼに比べ、細胞のなかで安定に強く発光する新たなルシフェラーゼ 「Emerald Luc (Eluc)」を作り出すことに成功しました。本ウェブサイトでは、近江谷先生のライフワークである、蛍の光をはじめとする発光タンパクの研究の経緯、最新の研究成果をエッセイとしてご紹介いただきますので、ご愛読のほどよろしくお願いいたします。東京大学大学院 理学系研究科の小澤岳昌教授等は、Elucを二分割して別々のタンパクとして細胞内に発現させても、細胞内でこの二つのフラグメントが近接するとフラグメントが再構成し(一体化し)、ふたたび蛍光タンパク質としての機能を回復し、基質を発光させるシステム(スプリットルシフェラーゼシステム)の構築に成功しました。その後、このシステムは、細胞内のタンパク質-タンパク質相互作用の検出や、シグナルの伝達の解析に有効であることが示されました。

当社はこれらの成果を実用化するため2006年に設立されました。創業以来、このシステムを重要な創薬標的であるGPCR(7回膜貫通型レセプター)に応用する研究を展開し、この度、GPCRを阻害する化合物のスクリーニングに使用できる23種類のGPCR発現細胞を取りそろえることができましたので、販売を開始いたします。是非、皆様の研究にご活用いただければ幸いです。引き続きGPCR発現細胞の品ぞろえを拡張するとともに、近江谷先生、並びに小澤先生と協力しながら、細胞内のキナーゼシグナル測定系の研究開発にも注力してまいりますので、ご期待ください。

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